先日、話題沸騰中の新しいゴジラ映画 『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ(以下「ゴジラKOTM)』(英題 Godzilla: King of the Monsters を観てきました。感動しました。前評判の中には若干ネガティブなものもあったので心配でしたが、そんなの取り越し苦労でした。もう冒頭から鳥肌もの。自分自身が実はモスラも好きだったんだ〜とあらためて感じるオープニングからの十数分。それ以降も怪獣プロレスのシャワー状態。アニメ版『GODZILLA 怪獣惑星』『GODZILLA 決戦機動増殖都市』『GODZILLA 星を喰う者』が、怪獣どうしのバトルシーンはほとんど無かったことで消化不良感いっぱいだったのに対して、この「ゴジラKOTM」はそんな空腹感を満たすに足りる作品でした。
以下は、新作「ゴジラ キングオブモンスターズ」の感想レビューということで、前半はネタバレなし(予告編や公式サイトにある範囲)、後半はおもいっきりネタバレトークになりますので、まだご覧になっていない方は、前半のみで止めてくださいね。その先にネタバレ区域への立ち入りは、あくまでも自己責任でお願いします。
【ネタバレなし】
作品概要
ゴジラ映画といえば日本の東宝が1954年に公開した第1作『ゴジラ』から、2004年の『ゴジラ FINAL WARS』までの28作品ですが、このレビューはハリウッド版レジェンダリー・ピクチャーズによるモンスターユニバース第一弾『GODZILLA ゴジラ』、第二弾『キングコング 髑髏島の巨神』につぐ第三弾作品『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』です。
- 邦題: ゴジラ キング・オブ・モンスターズ
- 原題: Godzilla: King of the Monsters
- シリーズ: モンスターバース シリーズ(3作目)
- 監督: マイケル・ドハティ
- 脚本: マックス・ボレンスタイン、マイケル・ドハティ、ザック・シールズ
- 原案: 東宝株式会社
- 制作: レジェンダリー・ピクチャーズ
- 配給: ワーナー・ブラザース、東宝
- 時間: 132分
登場する怪獣/モンスターズ(新怪獣に関してはネタバレ編にて)
映画の中で、渡辺謙が演じる芹沢猪四郎博士によると確認されているだけでも17種といっているが、実は髑髏島で発見された巨大生物も含めると、モナークはすでに20種類以上の巨大生物(タイタン)を発見しているかと思われます。
ゴジラ:ゴジラですよ。なんといってもゴジラ。前回レジェンダリー版『GODZILLA ゴジラ』においてもそうでしたが、最初から必ずしも人間の敵として描かれていません(だからといって人間の味方というわけでもない)。最初の登場シーンは海中ですが、その泳ぎ方は 東宝映画『ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』での海中の泳ぎ方を踏襲。これはガラパゴス諸島の海イグアナの泳ぎ方を参考にしたものと思われます。とにかく強い!この手の映画にありがちな一度は負ける…ものの決して諦めないし、バーニングします……(おっとネタバレすれすれ)
モスラ:これがまたひときわ美しい姿で描かれています。卵から孵った幼虫はどこかスパイダーマン。なるほどそういう風に使うのか。また幼虫がさなぎになり、さなぎから孵化して羽を伸ばすシーンは、すでに予告編でもあったように、怪獣なのに美しい。そんなモスラとして描かれています。
ラドン/ロダン:英語名では「ロダン」です。みせてくれますよラドンくん。ウェブ上ではすでにさんざんな書き方をされていますが、なぜそうなのかは劇場で確認してみてください。ただちょっと気になったのは邦画での最初の映画『ラドン』では夫婦で登場してました。その後のゴジラシリーズでは単独だったからか、本作でも単独での登場でした。
ギドラ:あの3つ首のうねうねする動きが、いままでのキングギドラに無い動き。ここは必見ですね。またそれぞれが個性的。ある意味で、アニメ『魔法使いサリー』に登場する、サリーちゃんのお友達の花村よし子ちゃんの弟たち トン吉、チン平、カン太にも似て、その三つ首どうしのかけあいががおもしろいですね。
劇中にはこの4体以外にも怪獣(タイタン)たちが登場します。中には前回の映画にでてきたようなものや、名前がすぐにわからないものも登場しますが、そのあたりは映画終了後に、パンフレットやウェブで確認してみるといいでしょうね(以下の「ネタバレあり」には書いていますけど……)
人間たち
芹沢猪四郎博士(演:渡辺謙)
前作に引き続き芹沢博士を演じる渡辺謙さんが、かっこいいんですよ〜。しかもゴジラを決して「ガッジーラ」とは言わない。あくまでも「ゴジラ」と呼ぶところなど、この映画の本質を表しているかのごとくです。ゴジラとはあくまでも共存の立場をとり、モナークや政府関係者と対立することもあるのだけれど、最後には……(ネタバレなので自粛)。最初の『ゴジラ』(1954)の芹沢博士がゴジラを殺す役だったのに対して、本作の芹沢博士はゴジラを生かす役というのが、実に興味深いですね。
エマ・ラッセル博士(演:ヴェラ・ファーミガ)
芹沢博士に次いでその存在感を出していたのは他のだれでもなくこのエマ博士だ。前回の『GODZILLA ゴジラ』によって家族の中の長男を亡くし、酒に溺れた夫に対して、怪獣をコントロールする研究に取り組むエマ博士。娘は当然母の元で育つのですが……。このエマ博士が開発したのが怪獣たちの鳴き声を生成する音声合成装置。これは『GODZILLA ゴジラ』のときに、生物音響学によりM.U.T.O(ムートー)の行動を予測しようとした取り組みをさらに発展させた装置。この装置があることで怪獣達はある種の「鉄人28号」的な存在になる。敵になるも味方になるもリモコン次第……というわけだ。
マディソン・ラッセル(演:ミリー・ボビー・ブラウン)
あの母にしてこの娘。行動力抜群。この少女の行動がぎりぎりのところで多くの人々を救うのだけれど…。印象的だったのは彼女が最後に避難する場所。これは米国人ならみんな知っているのかな〜。竜巻に襲われて逃げる場所がなくなったときに最後の最後に避難できる場所が家の中に1箇所だけあるのです。そこに彼女は隠れ一命をとりとめます。
マーク・ラッセル博士(演:カイル・チャンドラー)
ただの呑んだくれだったおとうさんです。せっかく助けに行った娘にも嫌われますが、米国映画にありがちな家族の絆の大切さを体現してくれます。
その他に印象にのこったのは、
ダイアン・フォスター大佐(演:アイシャ・ハインズ)
モナークの軍事責任者。いわゆる隊長です、しかも女性隊長。ゴジラシリーズにおいて女性の隊長といえば、映画『ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』のGグラスパーの隊長辻森桐子(演:田中美里)。モナークでもGチームと称しているところから、彼女のイメージもあったのかな?※ちなみに辻森桐子がゴジラシリーズの中では最初にゴジラに触った人間…だったはず。
アイリーン・チェン博士(演:チャン・ツィイー)
モナークの考古人類学者で、古文書や伝承の中から、かつて人類が怪獣と共存(神とあがめる)していることを研究し、本作においても蘇った怪獣たちと人間との共存を願っている。残念なのは、双子設定の妹リン博士が登場するのですが、ここは前もって知っていないと……あれ作中で髪型変えたのか?って思ってたんに素通りしてしまいがち。印象の違うチャン・ツィイーさんが二人登場するのでお見逃しなく。またモスラに関係する双子の姉妹という設定でもあるので、今後の展開も気になるところです。
秘密組織モナーク(MONARCH)
いつの間にか巨大な組織になっているMONARCH(モナーク)という印象でしたね。世界中に前進基地を持ち、それはすなわちその場所にそれぞれ監視している怪獣がいる……ということにもなります。このあたりは映画『ゴジラ FINAL WARS』において南極の氷の下に閉じ込められているゴジラを監視基地があるスタイルを踏襲した感じですね。本作では南極の氷に閉じ込められていたのは別の怪獣でしたが。
そんな中で、ゆいいつゴジラだけが行方不明。その行方不明のゴジラが泳いでくるのがバミューダ海域にある油田施設に偽装したモナークのキャッスル・ブラボー第54前進基地。オスプレイ型の航空機が着艦するかと思いきや〜〜〜。これがウルトラマンの防衛隊の秘密基地みたいで、どう考えてもリスクを負ってまであの着陸はないだろう…的なところはありますが、モナークがとてつもなく巨大な組織になったことを印象づけるシーンとなっています。
この他にも、メキシコ、雲南省、髑髏島、そして南極…さらには世界各地にモナークの前進基地(秘密基地)が、怪獣を監視している模様。
マシン&ウェポン
アルゴ:モナークの飛行司令船が登場。オスプレイも搭載するほどかなり大型です。ポスターや予告編でみたときは、スーパーXかと思いましたが、もっとすごいです。
オルカ:怪獣の声を合成して発生させる装置
潜水艦:モナークの秘密基地から出撃する潜水艦
潜水艇:潜水艦に搭載している一人乗りの小型潜水艇
あの秘密兵器:サプライズな登場の必殺兵器。3km以内のすべての生物を殺傷しうる兵器
ラプター:戦闘機。モナークが持ってる。
オスプレイ:輸送機。モナークが持ってる。
音楽
冒頭からの巨大蛾モスラが登場するシーンからもう、その音楽でウルウルしてしまいました。「ゴジラ キングオブモンスターズ」でもモスラは卵・幼虫・さなぎ・成虫の4段変身を見せて来れます。
なによりも、音楽においても日本のゴジラ映画に対するリスペクトを至るところに感じますが、なかでも読経=声明(しょうみょう)を音楽に重ねています。またモスラの曲においても南洋の先住民族の音楽のような打楽器を取り入れるなど、マイケル・ドハティ監督がどれだけ日本のゴジラ シリーズが好きだったかを、音楽からも感じることができます。
ここを見逃すな!
人と怪獣の「ふれあい」
モスラと触れ合う少女。ゴジラとふれあうおじさんが登場。またギドラの登場においてはふれあうどころか踏み潰される場面もいくつか登場します。
なにげない動作の中に…
テロリストが少女に向かってする動作に、どこか大映映画のあれ…を感じたりします。
モナークの考古人類学者は双子の姉妹
モスラを監視するモナークの双子の姉妹…そやもう歌うしかないでしょう(本作では歌いませんが)
エンドロールは最後まで立ち上がらないで!
映画の本編が終わってエンドロール/クレジットロールが出ても、すぐに立ち上がらないでくださいね(どうしてもトイレを我慢できない場合を除く)。マーベル映画のようにおまけの映像があります(ヤツの頭部)。それと……クレジットの最後の最後に。素敵な写真が出てきます、往年のゴジラファンにとっては「ここで泣かすか!」って思うほど嬉しい写真です。前の記事でサントリーの缶コーヒーBOSSとゴジラのコラボCMを書きましたが、CMでは『顔の見えない主役』でしたが…映画のクレジットでは。ぜひ劇場でご覧ください。
『初代ゴジラ が缶コーヒーのCMに!?『顔の映らない主役』 BOSSのCMにスーツアクターの中島春雄さんがモデルに。』
売店で
さて映画も見終えてロビーに行ったらぜひ売店をのぞいてほしい。映画のパンフレットというものは、上映劇場で上映の期間中でしか入手できない。公開後もAmazonやヤフオクでも出てくることはあるが、それでも劇場で販売されている価格の2〜3倍になっていることもある。なので劇場でご覧の方は、上映期間中でしか買うことができないパンフレットの購入はオススメです。しかも今回の『ゴジラ キングオブモンスターズ』ではパンフレットは2種類あります。1)2つ購入できる余裕があれば両方をオススメ、2)一冊だけ…というなら豪華版がオススメ。通常盤に加えてアート作品ともいえるような怪獣たちのイラスト集のページがあります。3)豪華版は限定なので売り切れていたら通常盤ですね。私自身もパンフレットで内容を確認しながらこのレビューを書いていますが、ページをめくるごとに、劇場での感動が蘇ってきます。
※ 東宝サイトにパンフレット(通常版 特別版)の正誤表が掲載されています。
◆15ページ目:ABOUT MONARCH 右の段 3行目
【誤】ロサンゼルス
【正】サンフランシスコ
◆18ページ目:ミリー・ボビー・ブラウン インタビュー 右の段 7行目
【誤】ギングギドラ
【正】キングギドラ
◆28ページ目:FILMMAKERS INTERVIEW アレックス・ガルシア(プロデューサー)インタビュー部分 左側下段
【誤】マイケツ・ドハティ監督
【正】マイケル・ドハティ監督
また、もうひとつオススメなのが劇中にも名称として登場してきた「オキシジェン・デストロイヤー」のキーホルダーですね。Amazonでの価格をみると驚くほどの高値がついていますので、劇場のショップでぜひ手に入れてください。
今回の『ゴジラ キングオブモンスター』に登場するゴジラ、キングギドラ、モスラ、ラドンのソフビは、バンダイのムービーモンスターシリーズでも販売されているとか。
新しい造形です。コレクターはいわずもがな、コレクターで無い人も昭和ゴジラ 、平成ゴジラ 、令和ゴジラ と集めてみてはいかがでしょうか。
↓
↓
↓
↓
↓ この先ネタバレ区域
↓
↓
↓
↓
【警告:ここからネタバレ区域】
特にリスペクト、オマージュを感じたところについてネタバレありで書きますので、まだご覧になっていない方は、あくまでも自己責任でお進みください。
怪獣たち(登場怪獣と名前だけ登場する怪獣)
ゴジラ :
なんというか……人間の味方ですね。「ゴジラの敵にはなりたくないよね」と何処かのガメラ映画で聞いたようなセリフが登場してもおかしくない後半。すでに予告編をよ〜くみれば、ゴジラの侵攻方向を同じ方向に射撃をしている人間側の兵器がうつっているので、ある意味で当然といえば、当然。また、なぜゴジラが人間の味方なのか…は、あの海底に沈んだ古代文明においてゴジラは人間に崇め奉られている神的な存在。なのでゴジラ自身にとっても人間が崇めてくれることで自分の存在証明にもなっていたことを考えると、まぁ人間の味方をしてもいいかなって思ったんだろうね。
ギドラ:
キングギドラとして登場していません。本作の中では当初は「モンスターゼロ」とよばれていたりもします。このモンスターゼロはX星人が映画『怪獣大戦争』でキングギドラを指していた名称……ということは、人間側にもすでにはるか太古の時代にX星人から受け継いだ文化があるのかもしれません。それにしても三つ首のかけあいはおもしろいですね。ネタバレなしのほうでも書きましたが、アニメ『魔法使いサリー』に登場するよし子ちゃんの三つ子の弟達にも似て。ひとつの首がゴジラに食いちぎられたにも関わらず、すぐに生え変わってきたあたりなど地球の生物ではない宇宙生物=宇宙怪獣っぽさが全開。で、その食いちぎられた方の頭がラストに登場するあたりが、どうも次の作品にもギドラが登場しそうな伏線を残していますね。まぁ、首から全身が再生するのか、それとも機械で補うのか……。ギドラ二世か、メカギドラか、空想は広がります。
ラドン/ロダン:
いや〜それにしても、スネ夫、ロキ、ねずみ男、イムホテップ(映画『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』では最強の悪役なのに、その次の作品『ハムナプトラ2/黄金のピラミッド』ではさらに強いスコーピオンキングにゴマをする役)…ということで、ラドン/ロダンのキャラとしての立ち位置が確定しました。強いものにはゴマスリポジション確定です(そのせいでしょうか、ネット上では「ごますりクソバード」の称号もみうけます)。まぁ、そこがミョウに怖いけどかわいい=コワカワイイのがラドン/ロダンってことで、次回作以降も登場するなら、そのポジションを維持してほしいと思いました。
モスラ:
本作でのモスラは中国雲南省で発見された……ということなので、本作ではインファント島が登場しませんでした。髑髏島=スカル・アイランドがあるので南洋の島という設定はすべて髑髏島になるか、あるいはどこかで髑髏島が実はインファントと呼ばれる島だった…みたいな表現になるのかも…と空想を膨らませています。インファントが髑髏島になる過程でオキシジェン・デストロイヤーと同種の成分が影響した…みたいな裏設定があったりしたら興味深いですね。
ムートー:
性懲りも無くムートー似の怪獣が登場します。もしかしたら前作で産んだ卵の中で生き残っていたやつかもしれません。たださすがにもう王者=キングの前ではひざまずくしかないようですね。
ビヒモス:
長いつのがあるので一見 マンモス ?とおもいきや鼻は長くないし〜ということで、不思議な生き物として登場しますよね。名前があったんです。その名もビヒモス。旧約聖書に登場するビヒモス/ベヒモスがモデルなのかはわかりませんが、これもまた人類に厄災を及ぼす存在のようです。
スキュラ:
クモンガっぽい。前回の『キングコング: 髑髏島の巨神』に、竹林に潜んでいたバンブースパイダーかと思ったのですが、別の名前がついてました。
メトシェラ:
予告編で山が動いて目がひかるあの巨大な怪獣。アンギラスかと期待はしていたのですが、別の怪獣でした。名前はメトシェラ。全体像はでてきませんでした。
コング:
キングギドラがギドラとして登場し、原題もKONGとしていたことを考えると邦題の中でキングコングと呼んでしまうのはどうなのかな〜って思ってます。モンスターユニバース第二弾『キングコング:髑髏島の巨神』でのキングコングの身長と、本作のゴジラとではどうしても高さがあわない気がするので、もしかしたらコングが巨大になってキングコングと呼ばれたりするのかもしれません。
また本作中に、モナークが確認しているだけでも17体の怪獣がいる…と言われているが、名前だけ列挙します。
- モケーレ・ムベンベ
- バフォメット
- ティアマト
- タイフーン
- アバドン
- リヴァイアサン
- サルゴン
- バニップ
これで17体なのですが、前作『キングコング 髑髏島の巨神』に登場した怪獣たちがいます。
- スカル・クローラー:二本足で人間を襲いまくったやつ
- バンブー・スパイダー:竹林の中(上)にいるクモ型やる
- スケル・バッファロー:水浴びをしていたきょだいな水牛
- リバー・デビル:タコだかイカだかよくわからない水中にいるやつ
- サイコ・バルチャー:翼竜
- スポア・マンティス:不思議な枯れ木風擬態をする生き物
(これ以外にも名前のあるようなないような…単に巨大なだけの生き物もいくつか)
そしてこれだ。
シノムラ:
モナーク誕生のきっかけとなった怪獣。ヒロシマ原爆によって目覚め人類が巨大生物=怪獣=タイタンの存在を知るきっかけとなり、その調査研究機関としてモナーク(MONARCH)をトルーマン大統領が指示したということのようです。形態はコミック版で確認できる範囲では尻尾の先がメガギラスにどこか似ている感じなので、昆虫系怪獣かもしれません。
ということで、モナークが把握しているだけでも実は二十数体の怪獣が存在しているはず…なんだけどなぁ〜。
さらに、洋書『The Art of Godzilla: King of the Monsters』にはこんなアートがあるそうです。ここに見えるのは ガイガン、クモンガ、カマキラス、アンギラス……そして「ガメラ」(カメーバにも見えるけれど…)
人間たち
- 芹沢猪四郎博士:渡辺謙演じる生物学者。役名の「芹沢」は1954年のゴジラを倒した秘密兵器「オキシジェン・デストロイヤー」の開発者。また猪四郎は、初代ゴジラからの映画監督本多猪四郎氏からとってもの。
秘密組織モナーク(MONARCH)
♪ 基地は海底、波間に隠れ〜、出動用意のベルがなる〜♪
『帰ってきたウルトラマン』の怪獣攻撃隊MATの歌をご存知の方なら、冒頭のモナークの油田をカモフラージュした秘密基地が、海底にあること、わざわざ危険を冒して地下までティルトローター機を降下させるところ…とみて、ウルトラマンの防衛隊の秘密基地感を感じたかと思います。あのオスプレイ型航空機を「マットジャイロ」に置き換えてみれば、なんとなく感じてもらえるだろう。そのあたりに、実は日本の怪獣特撮…特にウルトラマン系の防衛チームの秘密基地の雰囲気をモナークの基地に感じたりする。
また、本編では南極にはギドラが氷結されているが、東宝ゴジラ映画の『ゴジラ FINAL WARS』では南極の氷に閉じ込められているのはゴジラであり、そこにも監視基地が設けられている。本編で世界各地にあるモナークの基地が、それぞれの怪獣を封じ込めている(あるいは監視している)場所に設置というのも、FINAL WARSへのオマージ感がありますね。
マシン&ウェポン
アルゴ:
モナークの空飛ぶ司令船。すでに予告編やポスターにも描かれていますが、当初は『ゴジラ』(1984)から登場していたスーパーXかと思いきや、そんなものではありませんでした。むしろ海外ドラマ『エージェント・オブ・シールド』のバス(あるいはゼファーワン)か、映画『アベンジャーズ』に登場するヘリ・キャリアみたいな感じ…いや、いや日本にはあれがあるじゃないですか。映画『海底軍艦』の轟天号だし、『マイティジャック』のMJ号…そんな印象すらある空飛ぶ司令船が登場します。その名前はおそらく、歴史的な特撮映画『アルゴ探検隊の大冒険』かとったものと思われます。
オルカ:
怪獣の音声を合成し、その音声によって怪獣を操ることができる装置。しかもどうやら怪獣の音声だけでなく、人間の音声なども合成しているらしい。そのあたりが、遺伝子と音声という違いはあるものの、どこか映画『ゴジラ対ビオランテ』を彷彿させる。そしてこの声による怪獣のリモコンという概念は、続編においても何か重要なアイテムになりそうな予感がします。(劇中では壊れて、応急処置が復活しますが、たぶんさらに改良を加えていくでしょうね)
と、書いたところで、最新のマイケル・ドハティ監督のインタビューで、怪獣をもう一体追加できるなら…という質問に、なんと「ビオランテ」と答えたといいます。ただ東宝のライセンスが怪獣一体あたりにいくら〜という料金だったそうで、やむなくビオランテは登場できず。そのかわり怪獣と人の遺伝子を組み合わせるかわりに、怪獣の音声と人の音声とを組み合わせた装置を登場させたことが、その思いを映像に残せたように思えてなりません。
潜水艦:
実は地味にかっこいい潜水艦。そのシルエットや海中の渦に巻き込まれて地球空洞説的な空間に登場する古代文明の遺跡…あたりのイメージは、どこか映画『緯度0大作戦』に似ているし、この潜水艦も同作に登場するアルファー号に似ている気がしますね。
潜水艇:
芹沢博士がゴジラを復活させるために核弾頭を持ち運ぶあの乗り物。形状はどこか映画『ヴァレリアン(Valerian and the City of a Thousand Planets)』に登場するレクサスのブランドを持つ『単座追跡機SKYJET』に似ている…のだが、実は自分はもうひとつ別の乗り物を感じていた。それは映画『ガメラ対ジャイガー』に登場する黄色い潜水艇だ。ジャイガーによって体内に卵を産み付けられたガメラが足と顔が白化し、開けた口を半分水につけたまま昏睡状態になっているとき、二人の少年が大阪万博のアトラクションとして製作中の潜水艇に乗り込み、水中からガメラの口に入り込み、ガメラの体内にいた幼体ジャイガーと戦うシーンがある。そのときの水中から浮上して陸地にあがる場面が、どことなくこのガメラ対ジャイガーのシーンに似ているように感じたのだ。これも日本の怪獣映画のもうひとつの雄であるガメラ作品へのリスペクトとオマージュなのではないだろうか。
渡辺謙演じる芹沢猪四郎博士が最期に乗る潜水艇に似てる……かも。
オキシジェン・デストロイヤー:
サプライズ兵器でしたね。『ゴジラ(1954)』の時の形状ではありませんでした。
ここでその名称が使われるだけでなく、本作の中で戦いながら海中に沈んだゴジラとギドラを一度に抹殺するために用いられる……というのはわかるのですが、その使用後に海中から魚が浮かんでくるカット…あれはダメでしょう。オキシジェン・デストロイヤーは水中の酸素を破壊し、生命を死にいたらしめ…さらに液化して骨だけを残す。なのであのカットは浮かんでくる魚ではなく、沈んでいく魚の骨…で、なければならないのに〜。
しかもここで、オキシジェン・デストロイヤーを使ったことで、将来「デストロイア」を生みだしかねない状況を伏線として残したように思います。将来このモンスターユニバース作品で、デストロイアの微小体(クロール体)・幼体・集合体・飛行体・完全体と進化成長する姿を、見てみたい気もします。
サウンドトラック
映画『ゴジラ キングオブモンスターズ』の音楽の秘密が公式にYouTubeに上がっていました。読経(声明)を取り入れるところは、どこか川井憲次風でもありますが、米国の作曲家らしい重厚なサウンドに仕上がっています。ゴジラのテーマのメロディ、モスラのテーマのメロディなど、ぞわぞわと鳥肌モノのサウンドが随所にあります。
ネタバレ版ここを見逃すな!
芹沢博士、そこでそのギャグ(?)
芹沢博士が、遠隔操作できなくなった核弾頭を使って、ゴジラのすぐ目の前で自爆するシーンがあります。ギドラとの戦いで傷つき、自分の住処である海底でエネルギー補給をしているところに赴いて、核爆弾で元気にさせようというシーン。芹沢博士はそこでゴジラ に触れながら「さらば友よ」というセリフを言うのですが……その時にヒロシマで被曝した父親の肩身の懐中時計を見るシーンがあるのですが…止まっていたはずの時計が動き出して指し示した時間が[5時]、え?ごじ、ゴジだ。
クレジットロール/エンドロール
マーベル映画のように、おまけ映像はあるんだろうな〜とは思っていましたが、やはりありましたね。ギドラの本体はゴジラの熱線で散ってしまいましたが、その前に食いちぎった頭部(ちぎれた後にうねうねと再生する映像はかなりすごいけど)はどこへいったんだ?とおもっていたら…いましたね。怪獣業者が。このギドラの頭部が今後のモンスターユニバースでどう使われるのか興味津々です。しかもこの宇宙怪獣は再生しますからね〜。
エンドロールの最後の最後
まさかここで、初代ゴジラのスーツアクター 中島春雄氏の写真が出てくるとは思いませんでした。サントリーの缶コーヒーBOSSのゴジラとのコラボCMでは『顔の見えない主役』として出てきたのに、本編の最後の最後では、しっかり『顔の見える主役』として登場しています。往年のゴジラファンにとっては「ここで泣かす」という感じのもう感涙ものでした。
ということで、劇場で字幕版を一度見ただけの感想/レビューです。機会があれば吹き替え版も見たいし、3Dも見たいところ。それにしても、こんなすごい怪獣映画が登場してしまったら…日本の特撮怪獣映画は、このあとどうしたらいいんだろう?的な心配も生まれてしまいました。
[amazonjs asin=”1789090687″ locale=”JP” title=”The Art of Godzilla: King of the Monsters”]
いわゆる昭和特撮で少年時代を過ごし、平成・令和となった今、まさに自分はあの頃未来の世界と描かれた時代にいるはずなのに…なぜ宇宙旅行もままならず、海底牧場もできず…チューブの中を走っているはずの列車は無く…という2020年になろうとする時代の中で感じていたりします。せめて映像の世界だけはかつて夢見た未来を描いてくれるのではないだろうか。CG全盛の時代だし、CGは嫌いじゃないし(むしろ好きだし)、でもそんな中でも昭和特撮大好きオーラを出し続けていたいと思います。
コメント