いよいよ、新海誠監督の最新作映画『天気の子』が公開された。
【あわせて読みたい】 ・『天気の子』に疑問・質問![新海誠監督への質問応募フォーム]でパンフレットvol.2に掲載予定の質問を募集中。8/9 12:00まで。 ・映画「天気の子」ついに完成 新海誠監督の終了と完成のツィートを確認! ・地上波放送にて映画「君の名は。」放送。新海誠監督 最新作「天気の子」最新情報。ハリウッド実写映画はいつ? |
まだ梅雨のあけない日本、ふっと見える雲間の青空や、ふっと差し込む日差しをみると…この天気そのものが、映画『天気の子』のプロモーションじゃないのか……って疑ってしまうほどですが、そんな天気の秘密もこの映画をみるとわかってしまうかも。
映画パンフレットをみながら、映画の感想を書いてみたい。
新海誠ワールドから新海誠ユニバースへ
はっきりいって『君の名は。』から世界は続いています。
最近の映画は、アイアンマンをはじめとするアベンジャーズたちが登場する「マーベル・シネマティック・ユニバース」とか、ハリウッド版ゴジラの「モンスターズユニバース」のように、ひとつの世界観=ユニバースのなかで様々な物語が生まれている様に、映画『君の名は。』と『天気の子』はあきらかに新海誠ワールドというよりも「新海誠ユニバース」な映画になっています。あの人もあの人もあの人もあの人もあの人も出てくるので、ちゃんと画面の隅々までみるように、覚悟しておいてくださいね。
あらすじ
ここであらすじを書くのも気がひけるけど……Wikipediaからひっぱってくるね。
帆高は高校1年生(16)の時、ある思いを抱いて半ば家出同然の形で上京してきた。しかし、都会での生活は間もなくままならなくなり、苦労の果てに見つけた職業は望むも望まざるも曰くありげなオカルト雑誌の記事を書く仕事だった。そんな彼の淋しい心を表現するかのように雨が降り止まないある日のこと、切れ間のない人々の渦の中に、帆高はある1人の少女と遭遇する。陽菜(18)と名乗ったその少女はとても明るい性格で、弟とこの都会という渦の中でともに暮らしているという。しかも、彼女には到底他の人間には理解し難いある能力が備わっていた。彼女が帆高の目の前で見せたその特異な能力とは、祈る動作をするだけで、それまで低く垂れこめていた雲から降り続いていた雨を瞬く間に終わらせ、一瞬にして紺碧の青空を見せるというものであった。
(天気の子 – Wikipediaより。年齢は筆者追加)
あえて年齢を()で追加しました。物語の後半までは主人公の森嶋帆高(もししまほだか)は16歳の高校1年生ですが、ヒロインの天野陽菜(あまのひな)は18歳と自己紹介しますが実は〜(←あえてこういう書き方をするね)というところがあったりします。
作品概要
『天気の子 Weathering With You』
原作・脚本・監督: 新海誠
製作: 市川南、川口典孝
企画・プロデュース: 川村元気
製作総指揮: 古澤佳寛
プロデューサー: 岡村和佳菜、伊藤絹恵
音楽プロデューサー: 成川沙世子
キャラクターデザイン: 田中将賀
作画監督: 田村篤
美術監督: 滝口比呂志
演出: 徳野悠我、居村健治
CGチーフ: 竹内良貴
音楽: RADWIMPS
主題歌: RADWIMPS「愛にできることはまだあるかい」「グランドエスケープ(三浦透子)」
音響監督: 山田陽
音響効果: 森川永子
撮影監督: 津田涼介
助監督: 三木陽子
制作会社: コミックス・ウェーブ・フィルム
制作プロデュース: STORY inc.
製作会社: 「天気の子」製作委員会(東宝、コミックス・ウェーブ・フィルム、STORY、KADOKAWA、ジェイアール東日本企画、voque ting、ローソンエンタテインメント)
配給: 東宝
出演者(声優 CV):
醍醐虎汰朗(森嶋帆高)
森七菜(天野陽菜)
小栗旬(須賀圭介)
本田翼(夏美)
倍賞千恵子(立花冨美)
吉柳咲良(天野凪)
平泉成(安井刑事)
梶裕貴(高井刑事)
立花瀧(神木隆之介) ←おや?ネタバレではないけれど…
宮水三葉(上白石萌音)←おやおや?ネタバレではないけれど……。
勅使河原克彦、名取早耶香、宮水四葉…がクレジットされています。
100%の晴れ女です!
世界の秘密を知り、天気を操る(?)少女の陽菜と家出少年である帆高の物語ですが、天とつながってしまった陽菜はどんな雨降りの日でも、限られた時間、限られた場所を晴れにすることができる能力を持っている。そのことを知った帆高といっしょにはじめるのが『お天気お届けします!』ビジネス。Webサイトには「100%の晴れ女です!」の文字。
そのサービスは公開すると同時に、いろいろな依頼が舞い込んでくる。フリーマーケットを晴れにして欲しい、結婚式を晴れにして欲しい、ついには東京オリンピックの新国立競技場 神宮外苑の花火大会。その時までは雨だったのに六本木ヒルズの最上階、屋上のスカイデッキでの祈り。これもまたその花火大会開催の時間だけ晴れにしてしまう。ただ一方で、天気をあや作ることと同時に彼女の体に変化が現れ……。
この『天気の子』という物語、新海誠監督もいうように、エンディングは賛否両論があるかもしれない…ということをおっしゃっているが、まさに少年は少女を選ぶか、多くの人の幸せを選ぶかの選択を迫られることになるが…。というあとはネタバレになるので、いまたいつかどこかで。
それにしても食べ物の描き方が実に丁寧
陽菜が帆高につくるチキンラーメンはチキンラーメンだし、ポテトチップスはポテトチップスだし。夏美がつくる唐揚げはちゃんと唐揚げだし。ホテルの中にある自販機の焼きそばやたこ焼き、カップヌードルはちゃんとカップヌードルとして描いてますよね。そのあたりスポンサーでもあるのでしょうけど、作品としてはリスキーなところもあったりして、過去のアニメーション作品では似たような名前の別物を描くことが多いように思います。ここまでしっかり商品が描かれてしまうと、例えばNHKでは放送しないし、民法でもライバルなスポンサーの番組枠では放送できないし…とか。ただ、それにしても新海誠のビッグタイトルなので、スポンサーをがっちり掴んで、しっかり描きこむ方がたぶんコスパが良いのかな〜とも思います。
ただ、そんな大人の事情を抜きにしても作品の中に登場する食べ物は、実に美味しそうに描かれていますので、そのあたりも注目ポイントですね。
自然災害はそのまま自然災害として受け入る……その上で
本作品にはただの雨だけではなく、豪雨ではなく…かなり激しい異常気象の場面があるが、その異常気象は異常気象として、作品として受け入れている物語として出来上がっている。またラストにおける異常気象による変わり果てた東京の街も、災害として描くというよりは、ただあるがまま……むしろ昔はこうだったと、たんたんと受け入れている。それによって多くの人が犠牲になったりしている状況ではあると予想できるのだけれど、そこはあえて描いていないかったりする。
雨つぶの魚も龍も鯨も
雨の中に小さな水の魚たちが泳いでいるシーンがある。また雲の上に龍や鯨が描かれるファンタジックなシーンがある。本当に雲の上には僕たちが知っている世界とは全く別の世界があって、そこで天地の理(あめつちのことわり)つかさどる何か大きな世界がまだあるのかもしれない。物語の最初の方に登場する占い師の語る言葉、800年前に描かれた龍の天井絵を説明する住職の語る言葉は、しっかり聞いておいた方がいいね。
ここにも「3年」が……
やはりここにも、年齢をいつわる3年。そして物語そのもも3年という年月がある。映画『君の名は。』での、男女の入れ替わりの時間差とは違う3年、物語がクライマックスを迎えたあとに再び出会う3年後。新海誠監督はよほど時間差/時間経過が好きなのかもしれない。
「愛にできることはまだあるかい」のモールス信号を解読してみた。…日本語/英語ともに言葉にはなってないかも。
映画の最後、クレジットロールの最後の最後のほうで…RADWIMPSの「愛にできることはまだあるかい」にモールス信号?って思うようなトンツー音が聞こえたような気がしたのだけれど…気になったので解読してみました。
たて続く色々なニュース、海外各地での情勢の緊張や暴力、天気や災害も相まって少しずつ気が参る。音楽にできることは、自分達にできることは何があるかと考える。大事なものの順番を考える。諦めずに生きていたいなと思う。
— Yojiro Noda (@YojiNoda1) July 23, 2019
[天気の子] [RADWIMPS][ モールス信号]で検索された方が多いので、ちょっと本気で聞き取れないかチャレンジしてみました。
終盤かなり早いところからモールス符号が紛れているのですが、最後のピアノの音のあとにモールス信号だけになるところで5、6文字を打鍵しているようなので…せめてそこだけでも。
ピアノの最後の音が終わったところから……(アルファベットは苦手)
-・ タ(N)
・・-- ノ(U) or ・・-・ チ(F)
・・・ ラ(S)
-・ タ(N)
- ム(T)
・・-・・ ト (・・- ・・ ウ 濁点/U I)
タノラタムト、タノラタムヴ、タチラタムト、タチラタムヴ、NUSNTUI
意味不明だ。当然ながらまったくの思い違いかもしれないけどね。ネットに流れている「明日は晴れ」とか「本日は晴天なり」ではないですし、最初「大丈夫」かな?って思ったけど、それもちがいますね。
ア --・--
シ --・-・
タ -・
ワ -・-
ハ -・・・
レ ---
には聞こえないし、
ホ -・・
ン ・-・-・
ジ --・-・ ・・(シ+濁点)
ツ ・--・
ハ -・・・
セ ・---・
イ ・-
テ ・-・--
ン ・-・-・
ナ ・-・
リ --・
にも聞こえないし、
ダ -・ ・・(タ+濁点)
イ ・-
ジ --・-・ ・・ (シ+濁点)
ヨ --
ウ ・・-
ブ --・・ ・・(フ+濁点)
にも聞こえないなぁ〜。
劇場でしか手に入らない壁紙をQRコードでゲットしよう!
映画館には、映画『天気の子』の主人公 穂高と陽菜のパネルがあるのがだ、ただ通り過ぎてはいけない。この説明のところにあるQRコードをスマホに読み取ると、GPSの位置情報でその場所が映画館であることで、限定版のスマホ用壁紙が手に入る。この夏のスマホには大きな積乱雲の壁紙で過ごしてみると、雨の日もほっとできるかもしれないよ。
小説『天気の子』 新海誠 著/KADOKAWA も本日発売
7月19日、映画『天気の子』の公開と同時に、新海誠著 小説『天気の子』 も発売されたので、さっそく入手。
ということで、予告編いやスペシャル予報をみて、ぜひ劇場に足を運んで欲しい。
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ひとばん明けての感想(ネタバレあり)
公開初日に映画『天気の子』をみて一晩考えながら……けっこうじわじわ〜とガッツーンとくるものがあったりする。この記事も後で書き直すかもしれない。
日本においては、太平洋戦争後日本が復興していく中でいままさに戦後生まれで後期高齢者になっている世代と多くが鬼籍に入っている世代たちが経済成長を優先に日本の経済成長をもたらした。一方で公害が発生し環境も破壊してきた。そしてそのことに気がついた次の世代が公害問題にとりくみ、少しでも地球に優しい社会をつくり、環境を守ろうと取り組んでいる。オゾン層の拡大は食い止めた。二酸化炭素排出も国際的なルールが作られている。だけれど…もうすでに気象変動=異常気象や、地球上の各地で起こっている近くの変動や巨大地震なども含めた自然災害は止めることすらできない。狂ってしまった地球環境を守り元に戻すために、もしも大切な何かを犠牲するくらいなら、この狂った気候変動(異常気象)も彗星の落下も巨大地震も火山の噴火も止めようとせずに、ただそのまま起こることを受け入れよう…と言う世代が……もうすでに生まれているのかもしれない。この映画『天気の子』によるひとつの回答はこうだ。
もう二度と晴れなくたっていい!
青空よりも俺は陽菜がいい!
天気なんて ー 狂ったままでいいんだ!
という帆高の選択があり。それによって3年間降り続く雨のために東京都があんなことになっても、それでも人々は日常として受け入れ、通勤し、暮らし、それでいいんだよ大丈夫だよ…と言うのが、この映画の本質かもしれない。つまり…気象変動とその影響に対しては、今の暮らし=大切な何かを犠牲にしてまで取り組まない世代が、生まれたと言うことを感じてしまった。
国連の2030年目標であるSDGs(エスディージーズ)は、教科書的な優等生な回答としての目標かもしれないけれど、もしも「気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る」ということが何か大切な何かを犠牲にすることで得られることだとしたら、もう次の世代たちは、だれひとりも犠牲にせず、その代わりに気候変動を受け入れる選択をするのだろうな、と。
映画パンフレットのレビュー
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映画パンフレット 第2弾 vol.2 | Collection of interviews
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いわゆる昭和特撮で少年時代を過ごし、平成・令和となった今、まさに自分はあの頃未来の世界と描かれた時代にいるはずなのに…なぜ宇宙旅行もままならず、海底牧場もできず…チューブの中を走っているはずの列車は無く…という2020年になろうとする時代の中で感じていたりします。せめて映像の世界だけはかつて夢見た未来を描いてくれるのではないだろうか。CG全盛の時代だし、CGは嫌いじゃないし(むしろ好きだし)、でもそんな中でも昭和特撮大好きオーラを出し続けていたいと思います。